ホップで睡眠の質をあげる

2022年 3月 29日

身近なお酒と言えばビールをあげる人が多いかと思います。癖になる苦味や飲んだ後の清涼感、豊富な種類、そして手頃な価格として手に取りやすいお酒です。今やコンビニやスーパーには既存のメーカーだけでなく、ご当地ブリュワリー謹製のクラフトビールが販売されています。

その特徴的な風味やデザインもさることながら、ビールの原料である「ホップ」も注目を集めています。ビールに用いるホップといえば、苦味のビタリングホップや香りのアロマホップなどの分類が有名ですね。

日本におけるビールとホップのルーツは1800年中期、江戸時代に遡ります。1877年に、現在のサッポロビール・札幌冷製ビールが誕生し、ビールというジャンルは今日に至るまで広く認知されるようになりました。

そして、ビールの繁栄に添い、次第にホップの薬理効果についても研究されるようになりました。本記事では、ホップと睡眠の関連について紹介したいと思います。ビールだけではない、ホップの秘めたる可能性について興味を持っていただければ幸いです。

ハーブとしてのホップのリラックス効果について

ホップの原産は、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方とされています。また、ヨーロッパを中心に自生しており、日本においては、北海道や秋田県、岩手県などが産地として有名です。

冒頭のとおりビールの主原料として使用されることが主流ですが、ヨーロッパに於いてはハーブ茶として飲まれることもあります。地域によっては、生薬や民間薬として利用される背景から、ホップの薬理効果が認知され始め、近年の研究によってその有効性が証明され始めました。いくつもの有効成分の中には、優れた鎮静効果があるとされ、睡眠持続効果やストレス緩和の効果があります。

世界有数のビール生産大国であるドイツでは、ホップとバレリアンのハーブティーが寝付けない日の定番として古くから親しまれています。日本ではあまり馴染みがないですが、ホップの毬花利用したハーブピローも開発されてきています。

一般的なハーブピローにはラベンダーが使用されています。ラベンダーに含まれる酢酸リナリルという成分に、不安や緊張を抑制する鎮静効果があり、吸い込むことでその効果を得られます。

また、ホップには「フムロン」と呼ばれる成分が多く含まれています。この成分がビールへの香りや防腐効果などに作用しており、同時に非常に優れた鎮静効果を持っています。フムロンがもたらす健康への研究が盛んになる今、より優れたヘルスケア用品の開発が期待されます。

睡眠の質を上げよう

普段から安定した健康状態を得るためには正しい睡眠が欠かせません。そして大切なポイントは、「睡眠の質」をあげるということです。

まずは基本的な睡眠の仕組みを説明します。

人間の脳には睡眠と覚醒をコントロールする体内時計が設計されています。この体内時計には2種類のホルモンが含まれており、それぞれが睡眠と覚醒のバランスを担っています。

その一つ、メラトニン呼ばれるホルモンが入眠を促します。メラトニンは夜にかけて多く分泌され、それに協調し合いながら生体機能が睡眠に向かっていきます。就寝の2時間前までの入浴を推奨されている記事などを見たことがありませんか？その理由に、入眠の生体機能の一つ「熱拡散」が大きく関係しています。

熱拡散とは、入眠に際して体内の熱を逃し、脳を冷やすことを指します。熱拡散によって入眠する際に手足がホッと暖かくなり、メラトニンが分泌されていきます。この時に急激な温度変化が起こると質の高い睡眠が妨げられストレスを発生させてしまいます。対して、脳の温度が高くなるに連れて副腎皮質ホルモンが生成され、覚醒に至る仕組みになっています。

質の高い睡眠を得るには体温管理以外にもさまざまな方法があります。その方法は別の頁にて紹介していきたいと思いますが、それぞれに共通する目的があります。それは身体的な要因の他に、不安感やストレスなど精神的な要因を除いていくということです。

こうした課題を解決するために、さまざまな睡眠メソッドがありますし、サプリメントなどの健康補助食品が開発されています。

なかでも近年の研究により、ホップの健康機能性が注目されはじめています。